AboutBA
BA(Business Analysis)とは
ビジネスアナリシスは、ニーズを定義し、ステークホルダーに価値を提供するソリューションを推奨することにより、エンタープライズにチェンジを引き起こすことを可能にする専門活動である。
ビジネスアナリシスによって、エンタープライズはチェンジの必要性と合理的根拠を明確にでき、価値を提供するソリューションのデザインを記述できる。
ビジネスアナリシスを実施するエンタープライズのイニシアチブは、戦略的なもの、戦術的なもの、業務上のものなど多岐にわたる。ビジネスアナリシスはプロジェクト内で行われる場合もあれば、エンタープライズの進化過程や、継続的に行われる改善過程で行われる場合もある。ビジネスアナリシスは、現状の理解、将来の状態の定義、現状から将来の状態への移行に必要なアクティビティーの決定にも使える。
ビジネスアナリシスは、極めて多様な専門視点のもとで実施できる。BABOK ® ガイドではこのうち、アジャイル、ビジネス・インテリジェンス、情報技術(IT)、ビジネス・アーキテクチャー、ビジネス・プロセス・マネジメントの専門視点について記述する。専門視点は、ビジネスアナリシスの実践者が現在のコンテキストに基づいて自らの仕事のアクティビティーを見るときのレンズと捉えると分かりやすい。一つのイニシアチブに対して、専門視点は一つのこともあれば複数のこともある。
ビジネスアナリシス・コア・コンセプト・モデル
ビジネスアナリシス・コア・コンセプト・モデル™(BACCM™:Business Analysis CoreConcept Model™)は、ビジネスアナリシスに関するコンセプトのフレームワークである。このモデルには、ビジネスアナリシスとは何であるかとともに、ビジネスアナリシスのタスクの実践者の観点や、属する業界、実践する方法論、組織階層中の位置付けにかかわらず、実践者にとってビジネスアナリシスが何を意味するかが含まれている。6個の用語からなるこれらの用語はビジネスアナリストにとって共通の意味を持つ。これらの用語が一般的用法とビジネスアナリシスとどう関係しているかを議論しやすくする。6個の用語一つ一つを、コア・コンセプトと捉えている。
BACCMの6個のコア・コンセプトは、チェンジ、ニーズ、ソリューション、ステークホルダー、価値、コンテキストである。このコア・コンセプトのそれぞれが、ビジネスアナリシスを実践する際の基本となる考えであり、どのコンセプトも同等に必須のものである。
コア・コンセプト
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概要
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チェンジ
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ニーズに対応して変える行為
チェンジは、エンタープライズのパフォーマンスを改善するためのものである。 |
ニーズ
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対処すべき問題または機会
ニーズがステークホルダーの行動意欲を駆り立てて、チェンジを引き起こすこともあれば、チェンジが、ニーズを生み出すこともある。 |
ソリューション
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あるコンテキストにおいて、一つ以上のニーズを満たす具体的な方法
ソリューションは、ステークホルダーが直面する問題を解決することにより、あるいはステークホルダーが機会を活用できるようにすることにより、ニーズを満たす。 |
ステークホルダー
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チェンジ、ニーズ、ソリューションと関係を持つ個人またはグループ
多くの場合、ステークホルダーは、チェンジとの利害関係、チェンジへの直接的影響、間接的影響の観点から定まる。 |
価値
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あるコンテキストにおける、ステークホルダーに対する値打ち、重要性、有用性
価値は、潜在的または実現した利益、利得、改善と見なすこともできる。 また、損失の減少、リスクの減少、コストの減少が価値となる場合もある。 |
コンテキスト
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チェンジに影響を及ぼし、チェンジから影響を受ける状況。これによりチェンジを理解することができる周囲環境
チェンジは、あるコンテキストの中で発生する。コンテキストとは特定の環境におけるチェンジに関係するあらゆるものである。コンテキストは態度、振る舞い、信念、競争相手、文化、顧客層、ゴール、政府機関、インフラストラクチャー、言語、損失、プロセス、プロダクト、プロジェクト、売上げ、季節、専門用語、技術、天候、その他定義に当てはまる要素を含むことができる。 |
BABOK® v3 に出てくる知識エリア、およびタスク
知識エリア
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タスク
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ビジネスアナリシスの計画と
モニタリング
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ビジネスアナリシス・アプローチを計画する
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ステークホルダー・エンゲージメントを計画する
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ビジネスアナリシス・ガバナンスを計画する
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ビジネスアナリシス情報マネジメントを計画する
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ビジネスアナリシス・パフォーマンス改善策を特定する
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知識エリア
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タスク
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引き出しとコラボレーション
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引き出しを準備する
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引き出しを実行する
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引き出しの結果を確認する
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ビジネスアナリシス情報を伝達する
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ステークホルダーのコラボレーションをマネジメントする
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知識エリア
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タスク
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要求のライフサイクル・マネジメント
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要求をトレースする
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要求を維持する
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要求に優先順位を付ける
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要求変更を評価する
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要求を承認する
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知識エリア
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タスク
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戦略アナリシス
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現状を分析する
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将来状態を定義する
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リスクをアセスメントする
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チェンジ戦略を策定する
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知識エリア
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タスク
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要求アナリシスとデザイン定義
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要求を精緻化しモデル化する
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要求を検証する
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要求の妥当性を確認する
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要求アーキテクチャーを定義する
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デザイン案を定義する
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潜在価値を分析しソリューションを推奨する
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知識エリア
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タスク
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ソリューション評価
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ソリューション・パフォーマンスを測定する
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パフォーマンス測定結果を分析する
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ソリューションによる限界を評価する
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エンタープライズによる限界を評価する
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ソリューションの価値を向上させるアクションを推奨する
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専門視点
専門視点は、ビジネスアナリシスの作業において、イニシアチブのコンテキストに特有のタスクとテクニックに焦点を当てるために利用される。ほとんどのイニシアチブには、専門視点が関係することが多い。
BABOK ® ガイドでは、以下の専門視点を記載する。
- アジャイル
- ビジネス・インテリジェンス
- 情報技術(IT)
- ビジネス・アーキテクチャー
- ビジネス・プロセス・マネジメント
アジャイル専門視点
アジャイルとは、一連の価値と原則として具現化され、相互補完するさまざまなプラクティスによって実現されている柔軟な考え方を持つことである。アジャイル・イニシアチブでは変化が定常的に発生する。アジャイル・イニシアチブに従事するビジネスアナリストは、自分たちの取り組みや戦術を絶えず再評価し、適応させ、調整していく。ビジネスアナリストは、イニシアチブの最後の瞬間まで変更に対応できるように分析の実施やワーク・プロダクトのデリバリーを行い、継続的に変更の柔軟性を維持する。事前に詳細な分析作業を行うのではなく、アジャイル・チームが有効に活用できるように、必要なタイミングで実施する。
ビジネスアナリシスをアジャイルに実施すると、アジャイル・チームは、適切なタイミングで適切な詳細度の情報を確実に利用できるようになる。
ビジネス・インテリジェンス専門視点
ビジネス・インテリジェンスの狙いは、データを付加価値のある情報に変換をすることである。すなわち、データをどこから持ってきて、どのように統合し、どのように質を高めて、ビジネス上の意思決定を支援する分析的考察を提供するかである。
ビジネス・インテリジェンス・イニシアチブでは、データ中心型システム・アーキテクチャーを適用する。ステークホルダーが、戦略的、戦術的、業務推進のパフォーマンスをより良く管理できるように、信頼性が高く、整合性があり、高品質な情報を提供するための技術とツールを適用する。
情報技術専門視点
IT分野で働くビジネスアナリストは、幅広い複雑性とスコープを持つアクティビティーを取り扱う。軽微なバグ修正や機能拡張のような小さなイニシアチブもあれば、拡大するエンタープライズのITインフラストラクチャー全体のリエンジニアリングのような大きなイニシアチブもある。ビジネスアナリストは、多様な知識とスキルを駆使して、ステークホルダーの間で働き、そのITニーズに応える、価値あるソリューションを提供することを求められている。
ビジネス・アーキテクチャー専門視点
ビジネス・アーキテクチャーでは、エンタープライズをモデル化して、主要ステークホルダーの戦略的関心事にどう合わせるか、実施中のビジネス変革の取り組みとの関係を示す。
ビジネス・アーキテクチャーは、青写真に相当するビューとアーキテクチャーの詳細を示す。これにより、戦略上の目標と戦術で要求されることの整合性について共通理解を得ることが可能になる。ビジネス・アーキテクチャーを扱う場合は、分析的思考とアーキテクチャー原理をエンタープライズ・レベルに適用する。ソリューションは、ビジネス・モデル、運用モデル、組織のチェンジを含むこともあれば、他のイニシアチブを推進することもある。
ビジネス・プロセス・マネジメント専門視点
ビジネス・プロセス・マネジメント(BPM:Business Process Management)は、以下のことを可能にする一連の技術であり、マネジメント分野である。
・組織が、複数の機能分野にわたって、顧客とステークホルダーに価値を提供する作業を実行する方法に着目する。
・組織全体にまたがる価値の提供の視点を目指す。
・プロセス中心の見方で組織を捉える。
BPMイニシアチブは、組織の中で作業を実行する方法を改善することにより、価値を提供する。